明鏡止水 伊東純也

Ito Junya 伊東純也

(アフロ)

(めいきょうしすい) 

邪念がなく、澄み切って落ち着いた心の状態

いかなる困難や苦痛も、心の持ち方次第で苦痛を感じなくなるもの

A clear and calm state of mind free of distractions

伊東純也
中学高校は目立った活躍はなく、大学3年生の時に関東大学サッカー2部リーグで20試合に出場し17得点を挙げて得点王とベストイレブンを獲得した。翌年にはアシスト王となり2年連続でベストイレブンに選出。その後ヴァンフォーレ甲府の特別指定選手になりチームに帯同した。その後2016年には柏レイソルに完全移籍となり、2020シーズンまで活躍。その後、ベルギーのジュピラーリーグのKRCヘンクに期限付き移籍しリーグ優勝に貢献した。2022年にはフランス1部のリーグアンのスタッド・ランスに完全移籍した。代表では2017年E-1フットボールチャンピオンシップに発召集され国際Aマッチ初出場した。その後は代表に定着し、2022年カタールW杯に出場しベスト16に貢献した。国際Aマッチ44試合9得点(2023/5/27現在)

このインタビューは2023/5/24に行われたもので、今シーズンはベルギーのKRCヘンクからフランスリーグスタッド・ランス(Stade de Reims)に移籍し、カタールW杯もあったシーズンであり、サッカーについてやフランスでの生活について、どの様なことを考え、どの様に組んでいるのかを聞いてみた。

もしもなんて世界はない、結果だけが現実

ーー今シーズン残り僅かになりますが、ここまでを振り返っていかがでしたか

すごく満足が行くというわけではないが、悪くもないかな。

でも、もうちょっと出来たこともあるかと思う。

ーー今シーズンは33試合6得点(20230524時点)ですが、どの様に感じますか。

やはり得点とアシストがもっと欲しいですね。

ーーゴールやアシストはどうすれば取れる様になるのですか。

チームメートとイメージを共有や、試合の流れなどもあるので何とも言えませんが。

中々難しいですね。

ただ、後輩とか親しい友達が試合を観に来た時に得点は取ってますね(笑)

ーー何か気持ち的に影響があるのですか

それは、わからないですけど(笑) 何か決まることが多いですね。

ーー1年を振り返ってどの様な点が成長したと思いますか

リーグ(ベルギー)が変わっても、適応することが出来た点ですかね。

それは大きいですね。

出来るかどうかじゃない、自分か決めたことだから

ーーなぜ適応できたと思いますか

結果を出して、周りから認めさせることですね。

結果を出さないと、信頼はされない。

ーー結果を出すために、普段から心がけていることはありますか

特にはないですけど、、普段通りでいることかな。

あと、サッカーはサッカーだから

ーー「サッカーはサッカー」というと

いつもやっていることだし、特別変わったことはないということかな。

ーー哲学的な表現ですね、、わかる様な、分からない様な、、、

どんな試合でもサッカーはサッカーなので、毎日やっていることだからあまり緊張もしない。

ーー他に気を付けている点はありますか。

最近は、練習より、ケアに力を入れている。練習をしないっていうわけっじゃなくて、ストレッチボールを使ったり、マッサージなどを身体のケアには時間をかけています。日本からトレーナーに来てもらったりしています。

やはり職業上、身体は一番大切ですよね。

基本的に、あまりケガをしないんです。今までも大きなケガはないんです。

小さなものはありますが、大きいものは無くて「危ない」と感じると身体が避ける様に動くんです(笑)

次の一瞬を生きる

では、少し話を変えて生活について聞きたいのですが

ーー食事とか気を使っているものはありますか。

全然ないです(笑) 好きなものを食べていてストレスを感じない様にしています。

もちろん最低限の事はしますけど、あまりこだわっていません(笑)

ーー食事は外食されますか

基本的に練習が終わったら、まっすぐに帰ってくるので家で食べます。外食に行かないわけではないですが、多くはないですね。

ーー家の食事で好きなメニューはありますか

豚汁です(笑)

ーー即答ですね

はい、豚汁が好きですね。でも作ってもらえる食事はなんでも美味しくて好きです。

品物のこだわりはないのでですが、「美味しいものを食べたいんです」その為には値段はあまり気にしない。安くても美味しいものは沢山あるし、高級なものでも美味しくないもののありますし。あとは、、、七味とかを入れて一工夫して食べるのが好きです。

ーーこだわりの七味はあるのですか

いや、どこでも売っている定番の七味です(笑)メーカーは全くこだわらないです。

ーー他には何か食事でありますか

食事ではないのですが、水を飲みます。ミネラルウォーターではなくそのままの水が好きです。水道水でもいいんです。ただ家では、奥さんが水にこだわってくれています。

奥さんも水が好きなんで(笑)

ですから、レストランに行っても「水ください」って言ってます。

ーー住居のこだわりはありますか

あまりないです。車とかも他のサッカー選手が買っているのを見てもあまり興味はなかったです。でもないと生活が出来ないので乗ってはいますが。

ーー休息や睡眠などはいかがですか

昔から良く寝ます(笑) 今でも10-11時間とか寝ないとダメなんです。

高校生の時は21:00には寝てました。あと大学生になったら22:00に伸びましたけど(笑)

ーーそんなに寝るのですね

寝ないとダメで、でもうちの家族はみんな同じような時間に寝てましたよ(笑)

ーー家族もですか

はい、特別な職業ではないのですが、みんな早寝です。なので、遅くまで遊んだ経験はないです。まずは寝る時間を逆算して行動しますので、家に早く帰ってきます。

ーーでも今のチームになっても、帰ってくるのは早くないですか(笑)

そうですね。13:00に練習が終わったら。13:30には家にいます(笑)

でもマッサージ、ストレッチ等体のケアをやっているので。

ーーその後は何をしているのですか。

身体のケアが終わったら、食事をしたり、リラックスしたりしています。

ゲームをしたり、漫画を読んだりが多いですね。

あと今は語学の勉強をしています。

危機感なくして成長はない

ーー語学ですか

はい、英会話を週2回勉強しています。試合とかでできない時もありますけど、出来る時はやるようにしています。

ーーサッカーと語学の勉強では大変ではないですか

そうでもないです。チームメートとは簡単な会話はしています。

ーー言葉は通じていますか

それはわからないですが、コミュニケーションは取れますね。でも細かいことを伝えるのが難しいので、今は基本的な文法から勉強しています。

続く


終わりに,,,,

「いつも通り」「普通」などのキーワードが多かった。決して口数が多い選手ではないが、自分の世界観を持っている選手だと感じた。何かを変えないように、普通を演じ、頑張っているのかと思いながら話を聞いていたが、どうやらそうではなく、むしろ自然体?!の伊東純也がそこにいた。仕事が終われば、真っ直ぐに帰宅し、マッサージを受け、ストレッチを行う。食事も特別な物を好むわけではなく、そこにあるものを普通に食している。

それは受動的な行動ではなく、身体が受けつけるものを摂取し、その例は「水」であろう。ピュアなものを身体に取り入れる。そういった身体活動になっているのではないか。さらに身体を回復させる為に必要な、睡眠がキーになる。睡眠時間は人によって異なるが、睡眠をとることで、身体の回復以外に、精神的な回復も行われる。すなわちブロサッカー選手という世界から解き放たれ、一人の人間としての伊東純也となり、気持ちの解放がされるのではないか。これらの事から、表面的には楽観主義的な印象になるが、別の見方をすると、目標を見据えているから現実主義的な傾向となるのではないかと思えてしまう。

現代社会においては多様性が求められるが、これは個別や集団の中で異なる特徴や、意見、文化的な背景、人種、宗教、宗教、性的志向などの多様さであり、社会や会社などの組織、大小に関わらず地域のコミュニティなど様々レベルで存在する。いま求められているのは、それぞれの生き方があり、それぞれの世界観があること。その人にとっての新しい世界を作り上げていくことが大切なことなのではないか。こういった選手像は、次世代の選手にとっていい道標(signpost)になるのはないかと思う。

(アフロ)

Interviewer+Editor / Takayanagi Koichi

Profile 株式会社インターファースト 代表取締役 1990年創立 一般社団法人スポーツキャピタルマネジメント 代表理事 ・法政大学大学院 経営学研究科 経営学修士 MBA取得  ・筑波大学大学院 人間総合科学研究科 体育学修士 研究 ・日本スポーツ振興センター(JSC)2020年ターゲットエイジ  育成・強化プロジェクト(タレント発掘・育成コンソーシアム)アスリートライフスタイル研究会メンバー ・筑波大学 産学協同リエゾンセンター 客員研究員   スポーツ実技指導を通じたマインドセット教育の効果的質的向上に関する研究。 実績・講演 ・文科省委託事業 2010年~ 「エリートアカデミー生キャリアコンサルティング」 ・スポーツ庁委託事業 「エリートアカデミー生キャリアコンサルティング」  ・ジュニアアスリートに対して、学習、語学、キャリア教育、インタビュートレーニング ・福岡県、長野県、青森県、愛知県タレント発掘事業「言語教育」指導および指導者講習 ・Jクラブの指導者に対しての育成及びセカンドキャリアの講習・循環型人財育成のシステム構築・コアファン構築のコンサルティング メディア ・名古屋MIDFMにて「海外移籍をする選手の為の英会話」を6か月間放送!  

YouTube トップアスリートアカデミーチャンネル【公式】  https://www.youtube.com/channel/UCyUHDe1nGTQg0PAeil5dC3Q

取材依頼および問い合わせ interfirst1990@gmail.com


If there were no “what if” world, only the results would be reality.

Looking back on the season so far, how do you feel about it?

 I wouldn’t say I’m extremely satisfied, but it’s not bad either. I think I could have done better though.

This season you have scored 6 goals in 33 matches (as of 20230524), how do you feel about that?

I still want more goals and assists.

What do you think you need to do to score goals and make assists?

It’s hard to say because it involves sharing the same vision with teammates and the flow of the game. It’s quite challenging. However, I do tend to score when my juniors or close friends come to watch the game (laughs)

Do you think there is any psychological influence on your performance?

I’m not sure about that (laughs), but it seems like things tend to work out more often.

Looking back on the year, what aspects do you think you have grown in?

One point would be my ability to adapt, even when the league (Belgium) changed. That was a big factor.

Why do you think you were able to adapt?

It’s about producing results and gaining recognition from those around you. If you don’t deliver results, you won’t earn trust.

What do you do to achieve results? Do you have any specific mindset?

There’s nothing in particular… I guess just being myself. Also, soccer is soccer.

When you say “soccer is soccer,”

It means doing what I always do and not making any special changes, I guess.

That’s a philosophical expression, I understand and don’t understand at the same time… In any game, soccer is soccer, so I don’t feel too nervous because it’s something I do every day.

Are there any other points you pay attention to?

Lately, I’ve been focusing more on taking care of my body rather than training. It’s not like I neglect training, but I spend time on body care like using a stretching ball or getting massages. I’ve also had a trainer come from Japan.

Indeed, your physical condition is crucial in your profession. I don’t get injured much. I haven’t had any major injuries before. If I sense danger, my body instinctively moves to avoid it (laughs).

Living in the present moment.

Now, I’d like to ask you a bit about your daily life.

Do you pay attention to anything specific regarding your meals?

Not at all (laughs). I eat what I like and make sure I don’t feel stressed about it. Of course, I take care of the basics, but I don’t fuss over it too much (laughs).

Do you eat out for meals?

After practice, I usually go straight home, so I eat at home. It’s not like I never eat out, but it’s not that often.

Do you have a favorite dish for home-cooked meals?

 I love pork soup (laughs).

That was a quick answer.

Yes, I really like pork soup. But I enjoy any meal that’s made for me because it’s delicious. I don’t have any specific preferences for ingredients, but I don’t really care about the price. There are plenty of cheap and tasty options, and expensive ones may not always be delicious. Also, I like adding some shichimi spice or making small changes to the dish.

Do you have a preferred brand of shichimi spice?

No, it’s the standard shichimi spice that you can find anywhere (laughs). I don’t have any particular brand preference.

I apologize for the previous response being in Japanese. Here’s the translation:

Apart from meals, I drink water. I prefer plain water rather than mineral water. Even tap water is fine for me. However, my wife is particular about water at home, so she takes care of it.

My wife also likes water (laughs).

So even when we go to restaurants, I just say, “Water, please.”

Do you have any preferences or specifications for your residence?

Not really. I wasn’t particularly interested in things like cars, even when I saw other soccer players buying them. But I have to have one to get around.

How about rest and sleep?

I’ve always been a good sleeper (laughs). Even now, I need to sleep for 10-11 hours. When I was in high school, I used to go to bed at 9:00 p.m. Then it got extended to 10:00 p.m. when I became a university student (laughs).

So you sleep a lot.

If I don’t, it’s not good. But everyone in my family goes to bed around the same time (laughs).

Even your family?

Yes, even though they don’t have any special occupations, everyone in my family goes to bed early. So I don’t have any experience of staying out late. We plan our activities based on the time we need to sleep, so I come home early.

But even with your current team, don’t you come home late? (laughs)

Well, if training ends at 1:00 p.m., I’ll be home by 1:30 p.m. (laughs) But I also do things like massage and stretching for body care.

What do you do after that?

Once my body care routine is done, I have a meal and relax. I play games or read manga a lot. And I’m currently studying languages.

Languages?

Yes, I study English conversation twice a week. Sometimes I can’t do it due to matches and other commitments, but I try to do it whenever I can.

Isn’t it challenging to balance soccer and language studies?

Not really. I can have simple conversations with my teammates.

Do you understand each other?

I’m not sure about that, but we can communicate. However, it’s difficult to convey detailed things, so I’m currently studying basic grammar.

Continued…

There were many keywords such as “as usual” and “ordinary.” He may not be a talkative player, but I felt that Junya Ito has his own worldview.

While listening, I thought he might be playing it safe and trying hard not to change. However, it seems that’s not the case. He is rather natural?! Junya Ito finishes work and goes straight home, gets a massage, and stretches. His meals are not about fancy foods; he eats whatever is there, normally.

It’s not a passive behavior; he takes in what his body accepts, and the prime example of that would be “water.” He takes in pure things into his body. That’s what his physical activities are about. Furthermore, sleep is key to recovering the body. The amount of sleep varies from person to person, but by getting enough sleep, not only physical recovery but also mental recovery takes place. In other words, he is liberated from the world of being a professional soccer player and becomes Junya Ito as an individual, experiencing emotional release.

From these things, it may give the impression of being optimistic on the surface, but looking at it differently, it seems to lean towards being realistic because he is focused on his goals.

In modern society, diversity is highly valued, encompassing different characteristics, opinions, cultural backgrounds, races, religions, and sexual orientations among individuals and groups. This diversity exists at various levels, including within organizations, regardless of their size, and in local communities.

What is currently sought after is the recognition that each person has their own way of living and their own worldview. It is important to create a new world for oneself and embrace the diversity that exists. Such a perspective can serve as a guiding signpost for the next generation.

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